あなたは自分の星座に秘められたストーリーを知っていますか?
いまから約3500年前のメソポタミア文明で誕生したとされる星座。なかでも我々になじみ深い「12星座」は、空想力豊かな古代ギリシャの人々によって、伝説の神々や英雄などに絡めて語り継がれてきました。
今回はそんな12星座「やぎ座」とその星座神話を紹介していきます。
やぎ座は初秋の南の夜空、わし座の一等星アルタイルと、みなみの魚座の一等星フォーマルハウトを結んだ間の、明るい星が輝いていない領域に存在します。
逆三角のような形をしており、右の頂点の星が頭、左の頂点の星が尾っぽの部分にあたります。三等星以下の星ばかりで構成されているため12星座の中では少々見つけづらい星座です。
やぎ座(12/22~1/19生まれの人)(【和名】山羊座/磨羯(まかつ)宮【ラテン名】Capricornus)に描かれているのは、羊飼いと羊の神様パーン(アイギパーン)。
一般的にペラスゴス王の娘と使者神ヘルメスの間の子供とされており、山羊の下半身と頭の角、人間の上半身という半人半獣の姿で言い伝えられています。
その異形から、母親は幼いパーンを置き去りにして逃げてしまいましたが、父ヘルメスによってオリンポスの神殿へ連れて行かれると、すべての神々に喜ばれました。
なかでも豊穣とブドウ酒と酩酊の神ディオニュソスはパーンを気に入り「すべて」を意味するパーンと名付けられたといいます。
やぎ座ギリシャ神話ではそんな神々の人気者パーンの少しおっちょこちょいな物語が語り継がれています。
神々がナイル川のほとりで宴会を開いていたある日のこと。牧神パーンもこの宴に参加し、いつものように得意の葦笛を吹いて場を盛り上げていました。
そんな最中です。突如として宴会に呼ばれていないことを怒った怪物テュポンが乱入してきました。テュポンは大地母神ガイアとタルタロスの間に生まれたギリシャ神話最強の怪物で、神々に恐れられていました。
驚いたポリンポスの神々は一斉に動物に姿を変えて逃げ出し、パーンも急いで魚に変えて川に飛びこんだつもりでした。
ところが、あまりに慌てていたためか、变化できたのは下半身のみで、上半身は山羊のままという中途半端な姿で逃げることになってしまいました。
このまぬけな姿をみた神々はあまりのおかしさに笑い転げました。そして大神ゼウスもこの面白い姿を記念にしようとパーンの姿を「やぎ座」として星空に上げることにしました。
いかがでしたか?
情けない姿を星座にされてしまうとは少し可哀想なような気がしますが、神々の間でパーンは現代の「いじられキャラ」的なポジションだったようです。
壮大な物語からユニークな物語まで、ギリシャ神話の神々や英雄たちのさまざなストーリーが込められた12星座。あなたの星座に秘められた神話を知ればより愛着が湧いてきそうですね。